一夜の奇跡は真実の愛を灯す~副社長の甘い誘惑に溺れて~
少し長めの前髪から覗く瞳が、妖艶さをかもし出して…


私は、この世のものとは思えない程の「美しさ」を感じ、心臓が止まりそうになった。


感情のままにバイオリンを弾くその姿。


心を震わせるような、素晴らしい演奏が続く。


しばし、夢のような時間。


何もかも失くした気になっていたのに、この空間に広がる「感動」に浸れた自分に…少しホッとした。


『ありがとうございました』


演奏者がその役目を終え、バイオリンを丁寧に肩から下ろし挨拶をした。


拍手喝采の中、艶やかで美しい音色を奏でている時とは少し違う、穏やかな笑みを浮かべるその男性。


『素敵…』


思わず、ため息と共に言葉がこぼれた。


次の瞬間、私は我に返り、あまりに素敵過ぎるその男性を直視出来なくなって、カウンターの正面に向き直った。


まだ、胸がいっぱいでドキドキしてる。


ほんの数秒後、そんな私の肩を誰かが優しく叩いた。
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