一夜の奇跡は真実の愛を灯す~副社長の甘い誘惑に溺れて~
『…か、感想…?』


文句を言われたり、注意される?とか思ってたから、何かわからないけど…一気に体の力が抜けた。


『…す、素晴らしい演奏でした。癒されました。今日…ちょっと嫌なことがあって、それで…余計に心に響いたって言うか…』


それは、本音。


本当に…癒されたから。


それを聞いてすぐに、紅月さんは私の隣にゆっくりと座った。


そして、少し間をおいて…


『泣いてた』


え…?


私の涙、見えてたの?


『少し薄暗い照明に照らされて、つらそうな顔が、だんだん柔らかい表情になって…そして、涙が…』


『嫌だっ、恥ずかしいです。私の汚い涙見られたなんて。すみません、本当に恥ずかしいです』


『どうして恥ずかしがる?何があったのかはわからないけど、君みたいな人を泣かせるやつ…いるんだ…』


そんな…


私、彼氏にフラレたとか、一言も言ってないのに。


『どうして…私を泣かせるやつがいるって…わかるんですか?』


思わず聞いてしまった。
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