一夜の奇跡は真実の愛を灯す~副社長の甘い誘惑に溺れて~
でも…


桜桃羽さんの心の中には、自分以外にも誰かがいて…


その誰かと付き合って、結婚して…子どもを育てて…


そう思った瞬間、僕の心がザワザワと嫌な音を立てた。


その相手は…


きっと…


僕じゃない。


そんな気がしてならなかった。


桜桃羽さんとのキス…


柔らかい唇の、あの感触が忘れられない。


それ以上、彼女を自分のものにする勇気は…僕にはなかった。


こんなにも愛してるのに…


その時、誰かが来た。


店に出ると、そこにいたのは葉子さんだった。


『どうしたんですか?』


『すみません、先生。どうしても…湊先生に会いたくて…』


『…翔吾君は?』


『翔吾は…友達のところに遊びに行ってます。今日は…私だけ。先生と2人だけで話がしたいんです。中に入れてもらえませんか?』


正直、少しためらった。


『…ど、どうぞ』


僕は葉子さんを追い返すことが出来ず、仕方なく招き入れた。
< 89 / 147 >

この作品をシェア

pagetop