一夜の奇跡は真実の愛を灯す~副社長の甘い誘惑に溺れて~
『…悲しみ、不安、少しの憎しみ…そんなものを君に感じた。身内や親しい人に不幸があったなら、あんな優しい顔は出来ない。君には…まだ癒される余裕があるってこと』


その言葉に、ドキッとした。


確かに…そうかも知れない。


『あの、紅月さん…って、もしかして人の心を読む力がある…とか?』


『別に占い師やメンタリストって言うわけじゃない。ただ…仕事柄、いろんな人間と向き合うから…人を見る目はあると思ってる』


『紅月さんのお仕事は、バイオリニストじゃないんですか?』


『バイオリンは趣味。唯一のね。ここのオーナーとは知り合いでね。たまに演奏させてもらってる』


しゅ、趣味!?


嘘でしょ?


プロでもおかしくないよ、絶対。


あのクオリティで趣味とか有り得ない。


『そうなんですか…でも、優しいところとか、迫力があるところとか、すごく上手く表現されてて…私みたいな素人が偉そうですけど、でも、本当に素晴らしい演奏だと感動しましたから。私は、プロの方だと思ってました』
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