幼なじみ
「ひ…」
「あっ!!
私今日用事あるんだっ! じゃねっ」
皇が何か言いかけたけど、
それをムシするかのように自分のことだけ言って、
皇の顔を1度も見ずに家に入る。
見ずにっていうか、見れない。
見たら、泣いちゃう。
だって今だってもう視界がぼやけて見えないんだよ?
「姫架ー? 帰ったの??」
「た、ただいま!」
お母さんに涙声なのをバレないように返事をして、
バタバタと2階に上がり、
自分の部屋のベッドにダイブする。
「ぅ゛…ぐ…っ……っく」
誰もいない、静かな部屋に私の泣き声だけが響く。