カレシとお付き合い① 辻本君と紬
「でもさ、紬ってさ、意外だったよね」
急にまいちゃんが思い付いたみたいに言い出した。
「意外? 」
「もっとさ、大人しい⋯⋯ つーか、マネも出来るかなって思ってたけど、しっかりしてるよね」
「えっ? 」
「ほら、ぐいぐいしゃべらないから。でも、仕事になるとテキパキしてるし、ちゃんと話せるし、敬語とか話し方綺麗だし、働けるよね」
うわ、ほめられたら恥ずかしい!
なんか、顔があつくなる!
他の男子部員たちも、
「頼らないよね、ちゃんとしてて、裏表ないかんじで、いいよ」
と言ってくれて。
辻本君が、
「生真面目で、一生懸命で、頑張ってて、裏表がなくて、礼儀正しくて⋯⋯ 」
まいちゃんが続ける。
「それに、ほら、献身的、っていうの? 」
「いやいや、言い過ぎだよ! 」
私は真っ赤になった。
そんな、ほめられた事ないよ!
「献身的」
と辻本君がもう一度言った。私はあせって、
「いや、女子校だったから、みんな、そんなだよ!男子もいなくて、行事も全部、女子でやってたから!」
と言ったら、まいちゃんが、
「じゃぁ、女子校ってすごいいいじゃん、紬みたいになるなら」
「あ、ありがとう、」
じわじわする。
自分のダメなとこばかり見えるから、本当にそう言ってもらったら、元気が出る。
認めてもらえて、良いところだって言ってもらえて、本当にうれしい。
視線を感じて見たら、辻本君がすごく満足そうに見ていた。
「だろ?」
って、なんか自慢げ。恥ずかしいよ。
「でも、甘えろよ、オレには⋯⋯ 」
「辻本!それは2人の時!」
とまいちゃんが、また、間髪入れずに言った。