カレシとお付き合い① 辻本君と紬
♢ オレ呼び出されたけど
♢
「りくー、」
あ、またあの子だ。
最近、辻本君によく話しかけてくる女子がいる。
なんでも、一年の時同じクラスで、仲が良かったとか何とか⋯⋯ 。
辻本君の携帯に、頻繁に連絡してきてる人だ。
まいちゃんが、
「また来たよ⋯⋯ 」
と露骨に嫌そうに言う。
まいちゃんも同じクラスだったんだけど、どうも男子と女子の前で態度が違う子らしい。
見た目は女の子らしくて、可愛いかんじだ。
昼休みに辻本君が彼女に呼び出された。
辻本君が私を見た。
友達も私と辻本君を見た。
「オレ、呼び出されたけど」
と辻本君が私に言ったので、ビクッとして、唇をぐっとかんだ。
「私⋯⋯ は何も言う事ないよ」
小さな声で言った。
これ以上言えなかった。
答えている自分に、ダメな自分の影が暗くかぶさってきて、身動き取れない。
姿勢よく座り、ただ真っ直ぐ前を見ていた。
辻本君がちょっと傷ついた顔をした。
《行かないで欲しい》
って、私は言いたいんだろうし、辻本君も言って欲しいだろうか。
今。
言わないと取り返しがつかなくなるかもしれない。
グダグダして、まだ自分でケリがつけれてないから、何も言えなくしてしまっていて、手遅れになるんじゃないのかな。
今⋯⋯ 。
辻本君が「ふぅ、」と息を吐いた。
私のこと、あきれたのかもしれないと思うと、心が凍りそうに思う。
彼女が、
「りくー、早くー」
と廊下から甘ったるく呼んだ。
辻本君が立ち上がる。
私に背を向けて彼が教室の扉の方に行ったら、辻本君を待っていた彼女が、彼にするりと腕を絡めるのが見えた。
「りくー、」
あ、またあの子だ。
最近、辻本君によく話しかけてくる女子がいる。
なんでも、一年の時同じクラスで、仲が良かったとか何とか⋯⋯ 。
辻本君の携帯に、頻繁に連絡してきてる人だ。
まいちゃんが、
「また来たよ⋯⋯ 」
と露骨に嫌そうに言う。
まいちゃんも同じクラスだったんだけど、どうも男子と女子の前で態度が違う子らしい。
見た目は女の子らしくて、可愛いかんじだ。
昼休みに辻本君が彼女に呼び出された。
辻本君が私を見た。
友達も私と辻本君を見た。
「オレ、呼び出されたけど」
と辻本君が私に言ったので、ビクッとして、唇をぐっとかんだ。
「私⋯⋯ は何も言う事ないよ」
小さな声で言った。
これ以上言えなかった。
答えている自分に、ダメな自分の影が暗くかぶさってきて、身動き取れない。
姿勢よく座り、ただ真っ直ぐ前を見ていた。
辻本君がちょっと傷ついた顔をした。
《行かないで欲しい》
って、私は言いたいんだろうし、辻本君も言って欲しいだろうか。
今。
言わないと取り返しがつかなくなるかもしれない。
グダグダして、まだ自分でケリがつけれてないから、何も言えなくしてしまっていて、手遅れになるんじゃないのかな。
今⋯⋯ 。
辻本君が「ふぅ、」と息を吐いた。
私のこと、あきれたのかもしれないと思うと、心が凍りそうに思う。
彼女が、
「りくー、早くー」
と廊下から甘ったるく呼んだ。
辻本君が立ち上がる。
私に背を向けて彼が教室の扉の方に行ったら、辻本君を待っていた彼女が、彼にするりと腕を絡めるのが見えた。