カレシとお付き合い① 辻本君と紬
♢ お前をためしたんだ
♢
辻本君は、その子と2人でどこかに歩いて行った。
後ろ姿。
フワフワとお似合いの彼女が横に並んでる。
可愛い人。
甘い声でしゃべり、可愛い小さな花のような唇が、「りくー」と彼の名前を呼ぶ。
「理玖が好き」と、そうはっきりと言える人。
私には何も思う資格もないのに、心が痛くて、知らない痛みだった。
もし辻本君に彼女が出来たら⋯⋯ 。
1番近いのは私なのにと、ばかな私が思う。
つん、と目の奥がして、じわっと溢れてきてしまった。
泣いてしまう。
こんなところで。
教室で、人もいるのに。
心が苦しい、痛い。
横でため息をついていたまいちゃんが、「あっ」と私の様子に気付いたみたいだった。
「ちょっと、紬! 」
「⋯⋯ 」
あー、ダメだ。
机に肘をついている右手の甲におでこをつけてごまかしたが、その瞬間ポタポタと涙が机に落ちた。
お昼を一緒に食べている部活のみんなが、しーんとして、私を見てると感じた。
涙が止まらない。
心が痛くて、死にそう。
「うっ⋯⋯ 」
と声が出た。まいちゃんが私の背に手を置いて、
「馬鹿だよ、紬」
と言った。
「なんで、行かないでって言わないのよ。そんなに傷つくなら、言えばいいんだよ」
言えないよ。
言う資格がないよ。
どうしよう。
グチャグチャの気持ち。
真っ暗な、
息の詰まりそうな。
悲しくてくやしくて痛い。
あの子のメールに返信してた。電話に出て話してた。
一緒に歩いて、辻本君は、少し頭をかがめて、彼女を見下ろして、話を聞いてた。
今ごろきっと告白されてる。
行かなきゃいいのに、と意地悪な気持ちや悔しい気持ち。でも悲しくて痛い。
彼が答える、あの子に⋯⋯ 。
辻本君は、その子と2人でどこかに歩いて行った。
後ろ姿。
フワフワとお似合いの彼女が横に並んでる。
可愛い人。
甘い声でしゃべり、可愛い小さな花のような唇が、「りくー」と彼の名前を呼ぶ。
「理玖が好き」と、そうはっきりと言える人。
私には何も思う資格もないのに、心が痛くて、知らない痛みだった。
もし辻本君に彼女が出来たら⋯⋯ 。
1番近いのは私なのにと、ばかな私が思う。
つん、と目の奥がして、じわっと溢れてきてしまった。
泣いてしまう。
こんなところで。
教室で、人もいるのに。
心が苦しい、痛い。
横でため息をついていたまいちゃんが、「あっ」と私の様子に気付いたみたいだった。
「ちょっと、紬! 」
「⋯⋯ 」
あー、ダメだ。
机に肘をついている右手の甲におでこをつけてごまかしたが、その瞬間ポタポタと涙が机に落ちた。
お昼を一緒に食べている部活のみんなが、しーんとして、私を見てると感じた。
涙が止まらない。
心が痛くて、死にそう。
「うっ⋯⋯ 」
と声が出た。まいちゃんが私の背に手を置いて、
「馬鹿だよ、紬」
と言った。
「なんで、行かないでって言わないのよ。そんなに傷つくなら、言えばいいんだよ」
言えないよ。
言う資格がないよ。
どうしよう。
グチャグチャの気持ち。
真っ暗な、
息の詰まりそうな。
悲しくてくやしくて痛い。
あの子のメールに返信してた。電話に出て話してた。
一緒に歩いて、辻本君は、少し頭をかがめて、彼女を見下ろして、話を聞いてた。
今ごろきっと告白されてる。
行かなきゃいいのに、と意地悪な気持ちや悔しい気持ち。でも悲しくて痛い。
彼が答える、あの子に⋯⋯ 。