カレシとお付き合い① 辻本君と紬
♢ 元カレ




 どうしてこんなことになってしまったんだろう。

 すべて自分が悪いんだと思う。

 親友の杏ちゃんも私も、共学にきてから人付き合いがダメだ。
 むつかしい。
 同じような女子だけの中で、分かり合ってすごしてきた。特になんの問題もなかったし、仲良く楽しいだけだった。

 何か困ったら、誰かが助けてくれたし解決してくれてた。実際そんなすごい出来事もなかったし。
 せまい場所で甘えながら過ごしていたのかもしれない。

 女子校から外に出て、さっそく困ったことになった。自分で巻いた種なのに、どうしていいかわからず、ただじっと困り続けている。

 怖い。

 隠してることがある。
失敗したと思ってる。
 私は辻本君が思うようなちゃんとした人じゃない。

 親友の杏珠も知らない私。
彼女は素直だから疑った事がない。
親友なのに言わない事も多いんだよ。
隠してる事もあるんだ。

 誰にも見せたくない自分。

 ずっと心が重い。
暗い影みたいに、今の私をおおう。

 じゃ、すぐに解決してしまえばいい。

 なのに一歩がなかなか出ずに、グズグズしている。
 誰かどうにかしてくれないかな。
 いつの間にか解決してないかなって、甘えてる。
 子供の時から、こんな面がある。
 いつの間にか周りが何とかしてくれていたし、兄にもいっぱい助けられた。

 今も、甘えていいって、守りたいって、辻本君が言ってくれて、その辻本君が助けてくれようとしている。

 辻本君と一緒にいたい。
 ちゃんと彼に向き合って進みたい。


「紬、話して。大丈夫だから」


 辻本君が言うように、『彼氏』と2人で話したのだって、3秒ぐらいしかないのに、連絡先も知らなくて、会ったこともない⋯⋯ 。

 それでも、私は返事してしまった、あの時。
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