カレシとお付き合い① 辻本君と紬


 今日は秋の学祭。

 クラスでは飲み物を出す喫茶をしていた。
 私とまいちゃんは係のお仕事中だった。
 

 気がついたら教室の戸口で、辻本君と岡本圭太君が、知らない制服の女子2人と親しそうに話していた。
 まいちゃんが、


「ちょっ!あれ何⋯⋯ ! 」


と言って、私のそでを引っ張った。

 あと5分で交代時間だ。
 その後、それぞれカレシと学祭を回る約束して、時計ばかり見ていたんだけど。

 確かになんか『いつもと違う』と感じた。親しさが⋯⋯ 。
 彼女たちと積んだであろう年月とか、深さとか痛いぐらい感じてしまう。

 辻本君と岡本君の同じ中学出身の部員が、


「あーあ、中学のとき同じ部活だった子だよ。ヤバ」


と言った。

 ヤバってどう言う意味だろう、と、ヒヤッとした気持ちになる。

 2人とも、日焼けした、いかにもスポーツしてそうな感じの子たちだ。
 特に右の人は、派手でくっきりとした顔立ちのスタイルのいい子、私とは正反対な雰囲気だよ⋯⋯ ハッキリ思った事を話す感じで⋯⋯ 。

 辻本君の腕に、派手な方の女子が手を置いた。
 彼の腕を親しそうにポンポンとたたいたり、なでたり⋯⋯ 。
 わざとらしい話し方で、べたべた、なんか()びてるし。

 あー、やな事考えてる⋯⋯ 私。
 まいちゃんが時計を見て、


「行くよ! 」


と言った。


「え⋯⋯ まさか割り込むつもり? 」
「当たり前じゃん! 私は圭太の彼女だし、男子は何だかんだいって、割り込んで欲しいもんだよ! 」
「そうなの? そんなもんなの? うそ、無理だよ⋯⋯ 」
「何言ってんの! 私らがカノジョなんだから、引くはずないでしょ! 」


 エプロンを素早くたたんで、まいちゃんはすごい速さで鏡をチェックして、さっと髪を整えた。
 そして、勇ましく「よしっ! 」と握り拳をつくる。


「行くよっ! 紬!!! 」
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