カレシとお付き合い① 辻本君と紬
「本当にごめん⋯⋯ 」
もう何回目か謝ったら、みんなが何となく笑い出した。
「でもさ、すごいよね、これ! 」
「いや、思い出になったわ。悪いけど」
妙に楽しい気分で片付けていたら、もう一人の子も手伝ってくれた。
元カノだけ、面白くなさそうに戸口に突っ立っていた。
それをチラッと見て、もう一人の方の子が、
「ごめんね。進入して、動揺させたから、うちらも悪かった」
と紬にそっと謝った。
それから戸口に行って、
「さっ、過去は帰るか!」
と元カノの手を引っ張った。
「やだって! 私まだ! 」
と元カノが言ったら、友達は、
「ええ加減にせい! わからんのか! 」
とひっぱって帰って行った。
粛々と片付け、教室がきれいになり、ちょうど学祭も終わり時間になった。
私だけがびしょぬれ、クシュッと小さくくしゃみが出る。
辻本君が「着替えないと風邪ひく」と言って、まいちゃんがたまたま持っていた体操服のシャツと長ズボンを借してくれた。
辻元くんが「オレが貸すから」と着ているセーターをぬいで、辻本君と2人で保健室に着替えに行った。