センチメンタルナイト【完】
事実一星は高校の時から既にモテていた。
高校二年の秋、一星に初めての彼女ができたという話を聞いた時も、ひっそり枕を濡らして翌日腫れぼったい目で登校したら、当時クラスメイトだった仁が慰めてくれたっけな。
放課後暇ならカラオケでも行くかってなって、今日の式の主役でもある歩夢と友人も誘って、悲しみを吹き飛ばすべく喉が潰れるんじゃないかってくらい熱唱した。
お陰でスッキリしたけど、一星に彼女ができたという現状は勿論変わるはずもなく。

けど数ヶ月後別れたって報告を聞いた時、人知れず歓喜してる性悪な私がいたりして。
そんなんだから大してしてもいない努力が報われなかったのは当然なのかなって、今ならそう自分を咎めることもできる。


「アレっしょ、一度別れちゃった彼女が留学から戻ってきてまた付き合いだしたんだっけ?」
「えー、そうなの?じゃあ初めてできた彼女とゴールインってこと?なんか素敵~」
「てかさっき火野と一緒にいた人でしょ?ここにはいないみたいだけど、ほら、披露宴の時はいたじゃん」
「ああ、彼女のことだ。諸事情で二次会は欠席してしまってるのだが」
「そうなのかー。いやーおめでとー!」
「ありがとう」


みんなが盛り上がる傍ら、私は半ば放心状態になっていた。
< 3 / 31 >

この作品をシェア

pagetop