余命38日、きみに明日をあげる。

あのときみたいに差し出されたカードに、思わず涙が込み上げてきた。

適当に切られた画用紙に、青いペンで①と書かれただけのもの。順位を把握するために、ゴールした人に渡されていた紙切れ。

「私、なにもしてないし」

でも、あの頃みたいにもう無邪気に受け取れない。

星野さんたちは、文句こそ言っていたけれど、実際4キロという距離を走り切っている。

走ってもいない私が、琉生から一等賞の証をもらうなんて、おこがましすぎる。

素直に手を出さない私に、

「してただろ?」

「え?」

「みんなの応援、一生懸命頑張ってたじゃん」

「……それしか、だよ」
 
と唇をかみしめて琉生を上げれば、どこか誇らしげな顔で私を見つめていた。

「ひとりひとりにちゃんと声をかけてて。かけてもらった方は、ものすごく力になるし、嬉しいものなんだよ」

「……琉生」

「俺の耳にも、莉緒の応援、ちゃんと届いてた」
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