余命38日、きみに明日をあげる。
死の神の世界
昼休みはボールを蹴りに校庭へ出たけれど、どいつも持久走大会の疲れなのかやる気がなく、早々に教室へ引き上げた。
まだ少し弁当のにおいの残る教室に戻れば、無意識に探す莉緒の姿。
決して目立つ存在とは言えないが、俺にとっては一番に目に入る存在だ。
なのに、いるはずの莉緒の姿がない。
いつもであれば、水野と机を挟んで喋っていることが多いのに。
水野の周りには、人だかりが出来ていた。
女子で学年1位を取った水野に、色んなやつが祝福しに来ているみたいだ。学年の違うやつもいるから、部活の仲間かもしれない。
そんな光景を見ていると「ちょっとごめん」とでも言うように、水野が輪のみんなに合図して、俺のところに来た。
莉緒を見なかったかと聞かれ、囲まれている間に莉緒が出て行ってしまい、もうずっと戻ってこないんだと心配そうに告げた。
莉緒のことだから、仲間に囲まれている水野に遠慮して一人でどこかに行ったのかもしれない。