余命38日、きみに明日をあげる。
そう思ったまではよかったが、今朝教室で起こったといういざこざについて聞かされると胸騒ぎがした。
俺は、莉緒を探して校内を走った。
莉緒は寒い校舎裏でひとり、空を見上げていた。
その横顔が、とても儚げで、まるで天に吸い込まれてしまいそうに感じた。
何を思っているのだろう。
口にはしないが、行事のたびにどれだけつらい思いをしているかは知っている。
知っているつもりだったが、そのつらさは、やはり俺にははかり知れないのだろう。
今朝のことも、きっと莉緒は深く傷ついたはずだ。
けれど、それを人に訴えたり甘えてくることはない。
だからいつか壊れてしまうんじゃないかと、俺は不安でたまらないんだ。
莉緒が走れない分、俺が莉緒の分まで走る。
そう意気込んだ今日の持久走大会。
それは、俺のエゴなののかもしれない。
俺にしてやれることなんて、結局なにもないのかもしれない……。