余命38日、きみに明日をあげる。

「そ、そんなこと莉緒が願ってるわけないだろっ!」

俺の願いならともかく。

やべえ。体が熱い。

おまけにナオにニヤニヤされて居心地が悪くなり、話題を変えた。

「あの世へ行ったら、全員死の神になるのか?」

「いえ、希望者だけです」

「希望者? 死の神になんてなりたがる奴がいるのか?」

俺の問いに、トーヤが誇らしげに言う。

「死んだやつのすべてが死の神になれるわけじゃない。一番の人気の職業で、なるのが難しいんだ。つまり、エリートってわけだ」

魂を抜き取るのが人気の職業って、かなり悪趣味だと思うが。

「どうして死神……死の神になりたがるんだ」
 
つい、死神といってしまい、俺はトーヤの顔をちらりと見た。

案の定、俺に鋭い視線をむけていたが、俺は素知らぬ顔で続けた。

俺なら、人間の魂をとる仕事なんてやりたいとは思わない。そこまでやりがいのある仕事だとも思えないが……。

ナオは、にやりと笑うと、俺の耳元に口を近づけた。
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