余命38日、きみに明日をあげる。
「お給料がいいんですよ」
「給料?」
ホクホク顔で言うナオに、首を傾げた。
あの世というところの仕組みはわからないが、自分で稼いで生活をしなくてはならないのか。
死んでまで、働かされるなんてどの世界も甘くないらしい。
生きていくのも大変だけど、死後の世界も色々大変なのかもしれない。
「それより、どうして願いを叶えたら延命できるのか?」
ナオも俺の質問に興味を持ったようだ。
おしゃべりなナオが、口をつぐんだまま視線をトーヤに向ける。
というか、ナオは知らないのか?
「生きる活力ってのはあるだろ。願いが叶えば、それだけで心や体が元気になることがあるってことだ」
なんだよそれ。
そんな子供だましみたいな説明で納得できるわけないだろう。
しかし、死の神とかそういう科学では説明の出来ないことが目の前で起こっている以上、それもアリなのかと思ってしまう。