余命38日、きみに明日をあげる。
「死の神は、ずっと死の神で居続けるのか?」
たしか、トーヤはもう150年この仕事をしていると言っていた。
150年前と言うと、トーヤは明治時代から死の神を続けていることになる。
「違いますよ。しっかり神に仕えてお仕事をすれば、生まれ変わることが出来るんです」
「生まれ変わる?」
「はい! なので、死の神になってからも沢山試験があって、働きぶりを評価されたりします。評価が高いほど、早く生まれ変わる権利を得ます」
「じゃあ……トーヤは評価が低いってことか?」
「俺は、生まれ変わりに興味がないだけだ」
ふんっと鼻を鳴らす。
どうだか。
後輩の指導も適当っぽいし、模範とは言えなそうだ。
「もう行くぞ」
漫画を放り投げて、トーヤが立った。
どうやら機嫌を損ねたみたいだ。ということは、やっぱり図星なのか?
「外、雨だけど」
さっきから降ってきた大粒の雨が、バタバタと窓をたたいている。こんな中外に出たら、秒でびしょぬれだ。