余命38日、きみに明日をあげる。
私の余命
目を覚ますと、そこは白一色の世界だった。
小さい穴の空いたような模様の白い天井。
好きな女優さんのポスターが張られていない白い壁。
ピンクじゃない真っ白な布団カバー。
お気に入りの花柄じゃない、少しくすんだ白色のカーテン。
それらを見て私は肩を落とした。
──ここは病院だ。
天井の模様は、ミミズが走っているみたいで怖いと小さい頃はよく泣いたっけ。いまではすっかり慣れてしまったけれど。
目線をずらせば、ちょうど病室に看護師の松田さんが入ってきたところだった。
「莉緒ちゃん、目が覚めたのね。具合はどう?」
「だい、じょうぶです……」
そっか。私、また発作を起こしてしまったんだ。
体の周りにはモニターなどの機械が設置されており、腕からは点滴が施されていた。
「血圧測らせてね」
「はい」
点滴のされていない右手を差し出すと、松田さんは手際よく測定器を装着していく。