余命38日、きみに明日をあげる。
「死の神に雨なんて関係ない」
「濡れないんですよ!」
トーヤに続けて立ち上がったナオが、得意げに言う。
そんなことがあるのだろうか。
「死の神は、そもそも体の作りが人間と違います。血液もなければ体温もありません。ほらっ」
ナオは突然俺の首もとに手を当てた。
「うわっ、冷たっ! やめてくれよ……」
それは氷のように冷たかった。
俺のリアクションに満足そうな笑みを浮かべると、そのままふたりは夜の空に吸い込まれるように、窓の外に消えていった。
目を凝らしたが、二人の姿はもうどこにもなかった。