余命38日、きみに明日をあげる。
第4章
告白
昨晩降っていた雨は、朝には完全にやんでいた。
よく晴れた冬の朝は寒い。
12月に入り、木々の葉はほとんど落葉した。毎日の通学路も、黄色い葉っぱの絨毯が敷かれていて足にまとわりついて、歩きにくい。
横を通り過ぎる自転車が、葉っぱを踏みつけて、カラカラと音を立てていく。
「昔、両手いっぱいに抱えてなげっこしたよね」
思い出して、隣を歩く琉生に笑いかけた。
「そしたら中から虫が出てきて大泣きしたっけ」
「琉生がね」
「そうだった」
虫が大の苦手だった琉生は、目をまん丸にしてそのあとぎゃん泣きしたのだ。今でも忘れられないエピソード。
「でも、今は虫嫌い克服したし。莉緒の方がダメだろ?」
「まあね」
そうだ。あの頃、虫を気持ち悪いなんて思わなかった私は、今は触るのはおろか見ただけで鳥肌が立つほど嫌い。今では立場逆転だ。
数えきれない思い出の一つを思い出し、心のなかがぽかぽかと温かくなる。