余命38日、きみに明日をあげる。

「私が、琉生を呼び出すの……?」
 
琉生を告白の場所まで連れてきてほしいと頼まれたのだ。

「えっと……」
 
琉生は、今まで数えきれないくらいの女子から告白されている。

でも、そのどれもに私が絡んだことはなかった。

幼なじみという近い立場に居ながら、不思議と私に橋渡しを頼む子は誰もいなかった。
 
今考えれば、それは、警戒されていたのかもしれない。

「一生のお願いっ!」
 
その言葉に、胸がドキンと跳ねた。
 
一生……。

歩美ちゃんに一生のお願いなんてされたのは初めてだし、私にとって歩美ちゃんの一生のお願いを聞くチャンスは、これが最後かもしれない。

だったら。

「……うん、いいよ」

ためらったけれど、断る理由なんてなかった。

私は歩美ちゃんの恋を応援するって決めたんだから。

歩美ちゃんは先に告白場所へ向かい、私はここで琉生を待つ。
 
やがて、練習を終えたバスケ部の面々が昇降口にやってきた。

琉生は私を見つけると、軽く手をあげる。私も小さく手をふり返す。

すると、わっと盛り上がる群衆。
< 130 / 288 >

この作品をシェア

pagetop