余命38日、きみに明日をあげる。
「私が、琉生を呼び出すの……?」
琉生を告白の場所まで連れてきてほしいと頼まれたのだ。
「えっと……」
琉生は、今まで数えきれないくらいの女子から告白されている。
でも、そのどれもに私が絡んだことはなかった。
幼なじみという近い立場に居ながら、不思議と私に橋渡しを頼む子は誰もいなかった。
今考えれば、それは、警戒されていたのかもしれない。
「一生のお願いっ!」
その言葉に、胸がドキンと跳ねた。
一生……。
歩美ちゃんに一生のお願いなんてされたのは初めてだし、私にとって歩美ちゃんの一生のお願いを聞くチャンスは、これが最後かもしれない。
だったら。
「……うん、いいよ」
ためらったけれど、断る理由なんてなかった。
私は歩美ちゃんの恋を応援するって決めたんだから。
歩美ちゃんは先に告白場所へ向かい、私はここで琉生を待つ。
やがて、練習を終えたバスケ部の面々が昇降口にやってきた。
琉生は私を見つけると、軽く手をあげる。私も小さく手をふり返す。
すると、わっと盛り上がる群衆。