余命38日、きみに明日をあげる。

だって、琉生を待つことなんてできない。

歩美ちゃんが告白した後に、私が琉生と一緒に帰るなんて。
 
つき合うことを願っているのなら、待ってちゃいけないんだ。

「ううん。先に帰る」

「なんで──」

「もー、琉生も鈍いなあ。じゃあね」
 
なにか言おうとした琉生よりも早く、私はくるりと踵を返した。 
 
もう、いいかげん琉生を解放しなくちゃ。
 
琉生は琉生の人生を。私に縛られることなく──

靴を履いて、真っ暗な外に飛び出して。

ふと、振り返る。

明かりがぽつぽつと灯るだけの学校は、普段の校舎と違って見えた。

しんと静まり帰って、まるで知らない場所のよう。

歩美ちゃんは今、どんな顔で琉生の前に立っているんだろう。

琉生は今、どんな顔で歩美ちゃんの前に立っているんだろう
< 132 / 288 >

この作品をシェア

pagetop