余命38日、きみに明日をあげる。
だって、琉生を待つことなんてできない。
歩美ちゃんが告白した後に、私が琉生と一緒に帰るなんて。
つき合うことを願っているのなら、待ってちゃいけないんだ。
「ううん。先に帰る」
「なんで──」
「もー、琉生も鈍いなあ。じゃあね」
なにか言おうとした琉生よりも早く、私はくるりと踵を返した。
もう、いいかげん琉生を解放しなくちゃ。
琉生は琉生の人生を。私に縛られることなく──
靴を履いて、真っ暗な外に飛び出して。
ふと、振り返る。
明かりがぽつぽつと灯るだけの学校は、普段の校舎と違って見えた。
しんと静まり帰って、まるで知らない場所のよう。
歩美ちゃんは今、どんな顔で琉生の前に立っているんだろう。
琉生は今、どんな顔で歩美ちゃんの前に立っているんだろう