余命38日、きみに明日をあげる。

死ぬまでに叶えたいこと

家に帰ると、さっき作ったマフィンをお母さんに手渡した。

体を心配しながらも、学校で楽しく生活する私を応援してくれているお母さんは、とても大切な人。このマフィンは、お母さんを思いながら作った。

その場で包みを開いて食べて、「まあ美味しい!」と大げさなくらいに言ってくれた。残りはお父さんが帰ってきたら、一緒に食べるみたい。

夕ご飯の時間。

「莉緒、もういいの?」

「うん、なんだか食欲がなくて」 

半分も食べてないのに、箸をおいた私。

大好物のロールキャベツだったのに。なんだか胸がつかえて喉を通らなかったの
だ。

「大丈夫? 胸が苦しいとか、動悸がするとかない?」

正面に座っていたお母さんは、慌てて私の方に回り、不安そうに肩に手をのせた。

こんな体なんだから、食欲がなかったら心配するのは当然かもしれない。
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