余命38日、きみに明日をあげる。
でも、今日のはそれじゃない。
心配をかけてはダメだと分かっているのに、どうしても体が言うことを聞いてくれないんだ。
「ううん。なんていうか……胸がいっぱいっていうか」
へへっと笑うと、お母さんはわけが分からないって顔をしたけれど、同じように優
しく微笑んだ。
喉を通らないものはしょうがない。残してしまったものは明日食べると約束して、部屋に戻った。
課題をやる気にもなれなくて、ベッドに寝転びながらスマホを手にする。
なにも通知はない。歩美ちゃんからも。琉生からも。
ふたりはどうなったんだろう。
そんなに気になるなら、私から連絡すればいいんだろうけど、なんて聞けばいいの
か迷ってしまう。
スマホを持っているから気になるんだ。
スマホをポイッと手から離し、ぼーっと天井を見上げる。
病院とはちがう、温かみのあるアイボリーの壁。
何気なく視線をずらすと、壁に貼られたサクラちゃんのポスターが目に入った。