余命38日、きみに明日をあげる。
「夢みたいだったなぁ……」
この間の出来事。
琉生のおかげで憧れのサクラちゃんに会えて、話しをして、握手をして、写真集にはサインまでもらえた。
だけど、私にはまだまだ思い残すことがありすぎるんだ。
17年ぽっちの人生なんかじゃ、やり切れないことだらけ。
だから、せめてって願うのに……。
ベッドから起き上がり、机の一番下の引き出しの奥から、小さいノートを取り出した。
……死ぬまでに叶えたいことを書いたノート。
1年くらい前に書いたそれは、まだひとつも叶っていない。
「無理かなあ……」
書いた文字を、そっと撫でる。
こんなの誰かに見られたら困る。
でも、きっとあと3年ちょっとで燃え尽きてしまう命だと思ったら、本当にやりたいことなんて、ものすごく限られていることに気づいたんだ。
本当に叶えたいことを考えたら、3つだった。
だから、これが叶うまでは私は絶対に死ねない。