余命38日、きみに明日をあげる。
モテすぎる琉生のそういう話はしたことがあっても、一度も告白すらされたことのない私の好きな人なんて。
だから、言った。
「なに言ってるの。私に恋なんて出来るわけないじゃん」
「……は?」
それは思った以上に深い「は?」だった。
琉生はわかってない。私に恋なんて出来ないことを。
「本気でそんなこと思ってんの?」
「あたりまえでしょ。誰がハタチまで生きられない人を彼女にするっていう
の」
「待てよ。そんなの関係ないだろ?」
やめて、お願い。
そんな風に言われると、私でも琉生の彼女になれるのかな、なんて淡い期待を抱いてしまうから。
「あるに決まってるでしょ!」
思わず、語彙が強くなってしまったけれど。
ハッとしたように息をのむ琉生の目をしっかり見つめて言った。
「私は……恋なんてしない……」
自分へ言い聞かせるように。
自分の耳にも震えているとハッキリわかるその声は、琉生に私の本心だとわからせることは可能だろうか。