余命38日、きみに明日をあげる。
好きでこうなったんじゃない。
私だって、恋したかった。
みんなみたいに、誰かを好きになって、そして同じ想いを抱いてもらいたかった。
なのに、私にはそれができない。
いつもは感じない劣等感が、こんな時に私を襲うなんて……神様は、意地悪だ。
うつむいて、唇をぎゅっとかみしめた私に聞こえてきたのは、
「そんなに、椎名とつき合ってほしいのか……? それが、莉緒の願いなのか?」
「……うん」
力なくうなずく私の本心が、琉生に届きませんように。
「──わかったよ」
落ちた声はとても小さかったけど、しっかり私の耳に届いた。
「それが、莉緒の願いなんだな」
確認するような言い方に、どことなく違和感を覚えた。
「じゃあな。寒いから、あったかくして寝ろよ」
いつもと雰囲気の違う琉生の言葉の意味なんて、この時の私にはわかるはずもなかった。