余命38日、きみに明日をあげる。
やっぱり莉緒はそう思っているんだよな……。
莉緒からは、好きな人の話を聞いたことがなかった。
自分の寿命をわかっていて、恋なんてしないと決めているんだ。そう思うと、やるせない。
今すぐ言いたかった。俺が莉緒の彼氏になると。
でも、そんな勇気ない。
莉緒のことだ。「なに言ってんの?」そう言ってケラケラ笑い飛ばされて終わりだろう。
気付いたら、莉緒の席がぽっかりと空いていた。
莉緒がいない。
それだけで、胸がざわざわした。まるで莉緒がこの世界からいなくなってしまったかのように。
もしかしたら、椎名とつき合うことが、莉緒の願いの一つなのだろうか。
38日と言われたリミットは、すでに2週間が経過している。
もう、どうすればいいのかわからない。
「なあ、いい加減莉緒ちゃんにコクれば? お前がいつまでも彼女を作らないから告白が後をたえないんだろ。これ以上泣かせる女増やすなよ」
「……」