余命38日、きみに明日をあげる。
ドアを押すと、意外にも簡単にドアは開いた。
不用心だな。屋上に生徒が簡単に入れるなんて、ロクな学校じゃねえよ。
冷たい風が頬を突き刺す。
ブレザーを置いてきたことを後悔した。薄っぺらいシャツ1枚越しに、冷たい風が体温を奪っていく。
でも、頭を冷やすにはちょうどいい。
フェンスにもたれ、深く息を吐いたとき。
もう体になじんだ気配を感じて顔を上げれば、そこにはトーヤの姿。
「……死の神って暇なのか?」
こうもタイミングよく現れやがって。
「聞き捨てならないセリフだな。異常な波動を感じ取ったから、来てやってみれ
ば」
「別に頼んだ覚えなんてないし」
「そっちが頼まなくても、おかしなことをして、運命が狂わないように見張るのも
死の神の役目なんだ」
「じゃあこの間、街の中にいたのも、そういうことなのか?」