余命38日、きみに明日をあげる。

ドアを押すと、意外にも簡単にドアは開いた。

不用心だな。屋上に生徒が簡単に入れるなんて、ロクな学校じゃねえよ。

冷たい風が頬を突き刺す。

ブレザーを置いてきたことを後悔した。薄っぺらいシャツ1枚越しに、冷たい風が体温を奪っていく。

でも、頭を冷やすにはちょうどいい。

フェンスにもたれ、深く息を吐いたとき。

もう体になじんだ気配を感じて顔を上げれば、そこにはトーヤの姿。

「……死の神って暇なのか?」

こうもタイミングよく現れやがって。

「聞き捨てならないセリフだな。異常な波動を感じ取ったから、来てやってみれ
ば」

「別に頼んだ覚えなんてないし」

「そっちが頼まなくても、おかしなことをして、運命が狂わないように見張るのも
死の神の役目なんだ」

「じゃあこの間、街の中にいたのも、そういうことなのか?」
< 147 / 288 >

この作品をシェア

pagetop