余命38日、きみに明日をあげる。
完全に匙をなげている様子のトーヤの言うことはわからなくもない。
俺にとって都合のいい死の神らしくないそれは、トーヤからすれば厄介でしかないんだろう。
「今日の試験も追試なんだ。死の神になってからも、ステージが色々あって試験は絶えない。こんなので落ちてたら先が思いやられる」
「それって、トーヤの責任じゃねえの?」
「ほんとにそう思うか?」
ギロリ、と視線を投げられて。静かに首を横に振った。
確かに。これで監督者の責任にされたらたまったもんじゃないのも理解できる。
「今まで何人もの後輩を面倒見てきたが、あんなに出来が悪いのは初めてだ。同時に俺の評価も下がるから勘弁してもらいたい」
そう言いながらも、決して見放そうとしていないのは普段のトーヤを見ていればわかる。
ぶっきらぼうで不愛想なくせに、嫌いにはなれない。不思議だ。