余命38日、きみに明日をあげる。
「ふふふっ、莉緒ちゃんてば可愛い」
いたずらな笑みを浮かべながら測定器を片付ける松田さんには、私の気持ちを知られている。
琉生が初恋の人ってこと。そして、その恋はずっと進行形ということも。
小さい頃は入退院を繰り返していた私。
なにかあったらすぐに診てもらえるようにと、両親は大学病院の近くに家を買い、同じ時期にお隣に家を買ったのが佐久間家だった。
琉生とは家の前から仲良くバスに乗って幼稚園に通い、小中高とこれまたずっと同じ学校に通い。
正真正銘の幼なじみ。
お互いに一人っ子だった私たちは、いつも一緒に遊んでいた。私の思い出には、どれも琉生がいる。
いじめっこ男子にからかわれた時も、カミナリが怖くて泣いていたときも、いつも琉生が守ってくれた。
そんな琉生のことをいつから好きだったかなんて覚えてない。