余命38日、きみに明日をあげる。

「好きなんだろ」

視線とともに、言葉が流れてきた。

何が……なんて聞かなくても、すべてトーヤにはお見通しなんだろう。

昨日、俺と莉緒に何があったのか。どうして今、ここに俺がいるのか、も。

かなり頭は冷えたみたいだ。俺は黙ってうなずくしかなかった。

「何年も変わらずそばにいて、想いも伝えない。俺にはさっぱり分からないな」

俺が何年もかけて大事に育ててきた想いなんて、わかられてたまるか。

「振られるのが怖いのか」

この関係を壊すくらいなら、ずっと近くで見守ってる方がいいなんて。

「うるせえよ」

莉緒が恋なんて出来ないと思っているなら、なおさら。

「……けど」

俺が零した言葉に、トーヤが顔だけをこちらに向ける。

「他のやつと付き合えって言われるのも、結構こたえる……」

それって、脈がないってことだろう。

陸乃進はああ言ったが、幼なじみとの恋は、テンプレ通りにはいかないんだ。

所詮、そんなの都合よくできた物語の中の話。
< 150 / 288 >

この作品をシェア

pagetop