余命38日、きみに明日をあげる。
「好きなんだろ」
視線とともに、言葉が流れてきた。
何が……なんて聞かなくても、すべてトーヤにはお見通しなんだろう。
昨日、俺と莉緒に何があったのか。どうして今、ここに俺がいるのか、も。
かなり頭は冷えたみたいだ。俺は黙ってうなずくしかなかった。
「何年も変わらずそばにいて、想いも伝えない。俺にはさっぱり分からないな」
俺が何年もかけて大事に育ててきた想いなんて、わかられてたまるか。
「振られるのが怖いのか」
この関係を壊すくらいなら、ずっと近くで見守ってる方がいいなんて。
「うるせえよ」
莉緒が恋なんて出来ないと思っているなら、なおさら。
「……けど」
俺が零した言葉に、トーヤが顔だけをこちらに向ける。
「他のやつと付き合えって言われるのも、結構こたえる……」
それって、脈がないってことだろう。
陸乃進はああ言ったが、幼なじみとの恋は、テンプレ通りにはいかないんだ。
所詮、そんなの都合よくできた物語の中の話。