余命38日、きみに明日をあげる。
親友の涙
「佐久間、戻ってこなかったね」
1時間目が終わって、一花が私の席にやってくる。
「……うん」
私は肘をついたまま、主のいない琉生の席をぼーっと眺める。
琉生が声を荒げていた。あんな琉生、初めて見た。
トイレから戻ってきた私は、ちょうどその場面に遭遇してびっくりして固まって
しまった。
チラリとこっちに視線を向けた琉生と目が会ったけれど、そのまま教室を出て行っ
てしまい……結局1時間目が始まっても戻ってこなかった。
サボりなんて初めて。一体、どうしたんだろう。
「佐久間があんな風に怒るってめずらしくない? なにがあったんだろう」
腕組をしながら不思議がる一花に、私はなにも答えられなかった。
琉生の不機嫌は、今に始まったことじゃなくて昨夜から続いているはずだから。
少なくとも、私が関係しているのは間違いない。