余命38日、きみに明日をあげる。

そばにいるのが当たり前で、家族同然のように日々を過ごしてきた。
 
私にとっては、唯一無二のヒーロー。

「そういえば、先週お誕生日だったよね? おめでとう。もう17歳かー、早いね」

「……ありがとうございます」

「出会った頃は、こーんなに小さかったのに。すっかりキレイになっちゃって」
 
昔を懐かしむように目を細める松田さん。
 
誕生日、か。

誕生日を迎えるたびに、命の期限と言われているハタチが近づいていく。
 
17歳まで生きれてよかった、と喜べばいいのか。ハタチに近づいてしまう、と悲観するべきなのか。そう思ったら複雑で、素直に誕生日を喜べなかった。
 
だって、私は持ってあと3年。
 
それは明日なのか、1ヶ月後なのか、半年後なのか。誰にも分らない。
 
昨日みたいな発作に襲われて、なにもわからないまま逝ってしまうのかもしれないと思うと、怖くてたまらない。

「じゃあ、莉緒ちゃんが目を覚ましたこと、お母さんに知らせてくるね」

「はい」
 
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