余命38日、きみに明日をあげる。
「煩わしいなんて思ったこと一度もないよ! 莉緒はその……心臓がほかの人より弱いかもしれないけど、そんなの莉緒の個性じゃん。私、そんな風に莉緒のこと見たことないもん!」
「ご、ごめんね……」
目を伏せた一花に、私はすぐに後悔した。
これは言ってはいけなかったと。
こんな私のそばにいてくれる一花に対して、何てことを言ってしまったんだろう。
一花は、口を真一文字に結んだまま、うつむき一点を見つめている。
「一花……。ごめんなさい」
「……ううん。莉緒の気持ちもわからなくもないから」
そして、一花が何かに気づいたように、眉をひそめた。
「ねえ、もしかして佐久間に好きって言わないの、そんな風に思ってるから?」
「……」
「莉緒」
私がなにも答えられないでいると、ちょっときつめの声で私を呼んだ。
「佐久間の性格知ってるでしょ? あんな優しい男いないよ? 私、佐久間が莉緒以外の誰かとつき合うとか想像できないししたくない」
知ってるよ。琉生はものすごく優しい。