余命38日、きみに明日をあげる。
「もう、中学生の時から言われてたの。手術には限界があって、私の心臓は、これ以上治せないんだって。今は薬で何とか発作をしのいでる状態なの。ドナーさんが現れない限り……私……死んじゃうの」
「やだよっ!」
一花が私の両手を掴んだ。
大きい瞳にはみるみるうちに涙があふれ、目を瞑ると大粒の涙から零れ落ちた。
「そんなの、やだよ……っ」
一花、お願いだからそんな顔をしないで。
「一花、目を開けて」
だから、私は反対に笑って見せた。
もう、命の宣告をされてから何年も経っている。悲観したってどうしようもない。
「琉生が好きだからこそ、彼女になるわけにはいかないの。いくら琉生が好きでも、それだけはだめなの」
「莉緒…………」
「琉生は私を大切に思ってくれている。死んだらすごく悲しんでくれるはず。その時に、琉生を支える存在がいてほしい。琉生が私を支えてくれていたように、今度は琉生を……。だから彼女を作ってほしいって思ってるんだ」