余命38日、きみに明日をあげる。
大通り沿いといっても、住宅地だ。駅からそんなに近いわけでもないのに、テレビや雑誌の取材を受けるほどの店にまで成長させた。
それは、父さんの腕はもちろんだが、人々に愛される人柄は無視できない。
また来たくなるような店と、お菓子の味。
その両方を兼ね備える父さんは、本当にすごいと思う。照れくさくて言えないけれど、尊敬している。
すると、コック服を着た父さんが奥から出てきた。
売れ具合をチェックしているのか、ショーケースの中を覗き込みながらメモを取り、また中へ戻っていく。
俺は、この店が好きだった……
俺が本当にやりたいことは……。
店には入らず、俺はそのまま足を進め家へ向かった。
鍵を開けて電気をつけると、まださっきまで人のいたぬくもりを感じた。
母さんが、俺の飯を作りに戻ってきていたんだろう。
毎日仕事の合間に家に戻り、俺の飯を作ってくれている。