余命38日、きみに明日をあげる。

「悪いとか思うなよ。言ってるだろ、俺が好きでしてることだって。迷惑とか言わ
れたら……逆にへこむくらいには」

莉緒が小さく笑う。

「なんで?」

「ん?」

ふいにたずねられ、俺は主語を求めて首をかしげる。

「琉生がお菓子を作るのなんて、小学生のとき以来じゃない? なんで急にまた、
お菓子を作ろうと思ったのかなって」

包み紙さえも、大事そうに持って。

「あー……。莉緒と気まずくなって、どうやったら莉緒が前みたいに俺に笑ってくれるかな……そう思ったら、これしか思いつかなかった」

恥ずかしかったけれど、手の内を明かしてしまった。

なにも隠し事なんてしたくなかったんだ。

「ありがとう。すごく嬉しい。どんな理由よりも」

そう言って泣きながら笑う莉緒は、やっぱりキレイだった。
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