余命38日、きみに明日をあげる。
***
深夜。
久々にお菓子を作ったことで、体が興奮してなかなか寝付けなかった。
何度も寝返りを繰り返していると、またあの気配を感じた。
空気の流れが止まったような、ひんやりした感覚。
「……トーヤ?」
思ったとおり、ベッドのわきにトーヤは立っていた。
どうやら死の神は毎日来るわけでないようだ。
しかも今日は昼間学校の屋上でも会った。今夜は来ないと思っていたが、なぜか会いたかった。
闇の中でだんだん目が慣れてくると、その後ろにナオの姿もあってなんだかほっとする。
今日もうまく一緒に来れたみたいだ。
「ありがとう。トーヤのおかげで素直になれた……って、なんか照れるよな」
トーヤはすべて知っているんだろう。
キッチンの片づけをしないまま莉緒の家に行ったから、俺が菓子を作ったことは両
親にバレてしまった。
まあ、片づけをしたところで匂いは消せないし、どのみちバレていただろうけど。