余命38日、きみに明日をあげる。
莉緒とのいざこざが解消されただけでなく、願いの一つを叶えてしまったのか?
「やったじゃないですか!」
「ああっ!」
「ひいっ……!」
思わずナオの両手を握ってしまった。
すると、変な奇声を発するナオ。
冷たすぎて、ひいって言いたいのはこっちの方だけどな。
「あ、悪い……」
莉緒の願いが意外過ぎて、でも嬉しくて……俺は興奮が収まらない。
「い、いえ……。でも結局、私より先輩の方が役に立ったってことですよね……しゅん……」
あからさまにしょぼくれるナオは、やっぱりガキみたいだ。
「ナオはナオで、頑張ってくれてるよ」
俺はフォローしたが、
「70番はまだまだ修行が足りてないってことだ」
相変わらず冷たいトーヤ。
「ていうか、番号で呼ぶなんて、味気なくないのか? せめてナオのことはナオって呼べば?」
俺がナオと呼ぶのを、ナオは嬉しそうにしている。やっぱり名前があるっていうのは、嬉しいんじゃないだろうか。