余命38日、きみに明日をあげる。
ここでは、トーヤもそう呼んだらいいのにと思う。
「キリがないからな」
「そりゃそうかもしれないけど」
「私、ナオって気に入ってるんですよ。この番号は生涯変わらないので、もし一人立ちしたらナオって名乗ろうかなってちょっと思ってます」
「へー、いいじゃん」
名付けた俺も、なんだか誇らしい。ただ語呂に合わせただけだが、ちゃんと名前として成り立っている。
そんなムードとは相反して、変な空気がなだれ込んできた。
トーヤのただならぬ視線が刺さっていたのだ。
「……ていうのは嘘なので、上には報告しないでくださいね?」
ナオがトーヤにそう念押しすれば、
「俺も上司だっての、忘れてないか? なんなら、俺の採点ポイントの方が高いん
だが」
「ひぃぃぃぃっ、そうでしたっ。今のは、聞かなかったことに……!」
米つきバッタ再来……。
正反対なようで、なんだかんだこの二人はいいペアかもしれない。