余命38日、きみに明日をあげる。

一花を見送り、トイレに行ったその帰り。

「倉木さん」

ツンとした声で呼ばれ振り向けば、そこには星野さんがいた。

とても友好的とは言えないとがった目で私を見ている。その後ろには、無表情の女子がふたり。

「え……っ」

マラソン大会以来、私の中で苦手ナンバーワン認定している彼女に話しかけられた驚きは隠せない。

短いスカートから伸びるすらりとした細い足。キレイにカールされた茶色い髪。

メイクもバッチリな彼女は、本来であれば、私と交わることのない人。

「ちょっと来てほしいんだけど」

言うだけ言って、歩き出す彼女にわけもわからずついていく。

星野さんが私に用事なんて、きっといい話じゃないに決まってる。

私何かしたかな……頭の中で色々想いを巡らせながら重い足を進めた。

連れてこられたのは、体育館へと続く渡り廊下。

空はすっかり灰色で、今にも泣き出しそうだった。朝はあんなにいい天気だったのに。
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