余命38日、きみに明日をあげる。
「倉木さん、歩美の気持ち知りながら毎朝一緒に登校してるもんね」
「それは……」
「歩美の話を聞きながら、陰で笑ってたんじゃないの?」
「そんな……」
私は、歩美ちゃんの恋を応援していたつもりだった。
本当に歩美ちゃんとつき合ったらいいと思っていた。
「ひっどーい」
「最低」
一緒についてきた星野さんの友達も、大げさに声を上げる。
「倉木さん、本当は佐久間くんのこと好きなんでしょ? 幼なじみなんて、嘘ばっかり」
「そ、そんなことは……」
「ないって言いきれる?」
怖いくらいのキレイな瞳が、私を射抜く。
私の本当の心を覗かれそうで、思わず目をそらす。
「あんたみたいに、幼なじみの男の子に無条件で守ってもらえると思ってるやつ見てるとイライラすんだよね」
伸びてきた手が、私の肩を押した。
構えていなかった私の体はふらりと揺れ、足が一歩後退した。
心臓がドクン、と大きく鳴った。……静かに心臓が暴れ始める。