余命38日、きみに明日をあげる。

残された時間


「琉生くん、ありがとうね」

莉緒の母親が、俺の前で涙ぐみながら何度も何度も頭を下げる。

外来の診察時間が終わり、がらんとした静かな病院のロビー。

「俺がついていながらすみません」

俺は力なく頭を下げた。

莉緒が学校で発作を起こしたのは初めてだった。

学校では俺しか莉緒を守ってやれるヤツはいないのに、こんなことになって悔しくてたまらない。

自分への怒りが、体中を支配していく。

「琉生くんやめて、琉生くんはなにも悪くないんだから。それに、琉生くんが適切な判断をしてくれたおかげで、莉緒は無事だったの」

「でも……」

俺の腕をさすりながらなぐさめてくれる莉緒の母親。

「とりあえず、もう落ち着いたから。ね?」

「……うん……」 

「でもね、今回は少し入院が長引きそうなの」

悲しそうに笑うおばさんを見て、胸が締め付けられる思いがした。
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