余命38日、きみに明日をあげる。
やっぱり、トーヤの言う通りに運命は進んでいるのか。
これはその前触れなのだろうか。
莉緒の余命は本当にあとわずかで、トーヤが莉緒の魂を持って行ってしまうのか。
しばらくすると、莉緒の容態が安定したようで、面会の許可が下りた。
おばさんから入るよう促され、俺は莉緒の病室に入った。
「ちょっと、莉緒のことお願いね」
気を利かせてくれたのかはわからないが、おばさんは入れ替わりに外へ出て行っ
た。
ベッドに横たわる莉緒。その顔は、まだ青白い。
「琉生……」
微かに笑って俺の名前を呼ぶ莉緒に近づく。
大きくて黒目がちな瞳が俺を見つめている。
俺はベッド脇のパイプ椅子に腰を下ろした。
「琉生が、救急車を呼んでくれたんだってね」
「ああ……」
発作が起きるたびに、こうしてまた顔が見れたこと、声を聞けたことに安堵してならない。
「ありがとう」
莉緒は一呼吸置いたあと、少し顔をこわばらせて言った。
「……星野さんたち、びっくりしてたでしょ」