余命38日、きみに明日をあげる。
「ああ」
「あんたが行ったって何もできないんだから。迷惑にだけはならないようにしてよ」
母さんは家のことを済ませると、店に行きレジに立ち、夕方一度戻ってきて夕飯の支度などを済ませると、また店に行く。
そんな日々を、もう何年も過ごしている。
兄弟のいない俺は、小さいころは母さんが帰って来るまで、莉緒の家に預けられていることが多かった。
同じく一人っ子の莉緒とは、たまにけんかをすることもあったが、兄妹同然のように過ごしてきた。
「わかってるよ」
俺はコーヒーをがぶ飲みし、母さんの小言から逃げた。
そのまま、なんとなくスッキリしない頭で登校した。
「はよー」
「琉生おはよー」
ひとたび校門をくぐれば、男女関係なく声が飛んでくる。
友達は多い方だ。というか、知らない間に、先輩や後輩とも顔見知りになっている感じだ。顔はわかるけど名前は微妙、そんな奴も多い。
「おっす」