余命38日、きみに明日をあげる。
『え、なんで救急車……』
星野たちの動揺は激しかったが、俺は特に事情を聞くこともできないまま、つき添いの教師と一緒に救急車に乗り込んだ。
星野たちは、その様子をただおろおろしながら見ているだけだった。
まさか、目の前の莉緒が救急車で運ばれるなんて想像だにしなかったのだろう。
「莉緒は余計なことを考えなくていいから、ゆっくり休んで」
頭を軽く撫でながら、布団を少し上に引き上げる。
「ねえ、琉生……」
「ん?」
何気なく俺の名前を呼ぶ莉緒に、いつものように問いを返した。
その言葉に続くものが、とても悲しいものだと思いもせずに。
「私、もうすぐ死ぬのかな……」
目の前が、真っ白になった。
「な、なに言ってんだよ」
そう言う自分の顔が引きつるのがわかる。
そんなことを莉緒が言うなんて、初めてだった。
「怖いよっ……」
莉緒は震える声で、正面を見たまま俺のブレザーの袖をつかんだ。