余命38日、きみに明日をあげる。
「私、死にたくないっ……」
莉緒の恐怖が痛いほど伝わってきた。
今度こそ喉の奥がひゅっと詰まり、声が出なくなる。
こんな弱々しい莉緒を見るのは初めてで、俺はすっかり動揺してしまったんだ。
俺の知っている莉緒は、いつも笑っていて。
そんな莉緒に、安心していたのかもしれない。
けれど。
……そうだよな。当然だよな。
今までだって、俺が知らないだけで、たくさん泣いていたのかもしれない。
「琉生……助けて……っ」
今にも壊れそうな瞳が、俺を見上げる。
切実な莉緒の願いに、心臓がえぐられるような思いがした。
莉緒が望むなら、俺の心臓を差し出したっていい。心からそう思う。
「絶対に死なせないっ……!」
今にも折れてしまいそうな白くて細い指を優しく握る。
「絶対に大丈夫だ」
絶対なんてこの世にない。けれど、今はその絶対が必要だった。
微かに莉緒が微笑んだ。
「今はなにも考えずにゆっくり休んで」
何とか落ち着かせて布団をかけなおすと、莉緒はゆっくり目を閉じた。
しばらくすると、規則正しい呼吸が聞こえてきた。