余命38日、きみに明日をあげる。
***

病院を出ると、外はもう真っ暗だった。

体の芯まで突き刺すような冷たい風が、頬をつきさす。

12月も10日を過ぎ、季節はいつの間にかすっかり冬へと変わっていた。北の方では降雪も始まっているのだから当然だ。

「いてっ!」

段差に躓いて、舌打ちした。

俺はイライラしていた。

莉緒が願うあと残りのふたつは何なのか。

それさえわかれば、莉緒の命を救えるのに。

どうしてこんなにも俺は無力なんだ。

『私、死にたくないっ……』
『琉生、助けて』

切羽詰まった莉緒の顔が、脳裏から離れない。

「くそっ……!」

俺はあたりを360度見回し、闇の中叫んだ。

「トーヤ! いるんだろ! いるなら出て来いよ!!」

トーヤは絶対にどこかで俺のことを見ているはずだ。

八つ当たりだとはわかっているが、この気持ちをぶちまけなければ気が済まなかった。
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